うゐの奥山行(2)―カトマンズへ2009/01/10 15:33

12月12日、成田を発って、香港経由でカトマンズに向かう。快晴。窓の外には富士山。すっぽりと雪に覆われた雪山になっていた。そもそも、ヒマラヤに行こうと思いたったそのもとをたどっていくと、大学時代に国文の教授に“いろは”をノートに書かされたときにさかのぼる。誰でも知っている48文字。前半はやさしい。色は匂へと散りぬるを、我が世たれそ常ならむ。しかし後半は難しい。うゐの奥山、今日越えて、浅き夢見し、ゑひもせす。いったいうゐの奥山とは何なのだろうか。いろは歌は弘法大師が雪山偈(無常偈)を和訳したものという伝説がある。雪山偈の雪山とは、釈迦が雪山童子と言われていたからなのだが、雪山偈の諸行無常の思想といろは歌はまったくのイコールではないと私は思う。うゐのおくやまとは、もちろん具象の山ではない。が、そのとき、私のイメージの中に、ヒマラヤと川口慧海の姿が重なったのだった。

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