うゐの奥山行(17)―アンナプルナBCへ2009/01/16 08:32

楽園でコーラを飲む

マチャプチャレBC(3700M)を過ぎると、道は90度あまり左折、今度は西に向かって、氷河から流れ出てモディ・コーラにそそぐ小川を遡りつつ、アンナプルナⅠ峰に招きよせられるように聖域の懐深く入り込んでいく。高度は富士山の高さを超え、日差しがあって寒くはないが、さすがに小川は凍っていた。ここは氷河のあとにできた、いわゆるU字谷で、夏に羊を放牧するため、雪の季節を前に枯草を燃やす山焼きが行われている。その煙を吸い込んで、せっかく治りかけた咳がぶり返しそうになる。9時50分、アンナプルナBC(4130M)のパラダイス・ガーデン・ロッジ着。目の前(西)にアンナプルナⅠ(8091M)、南西にアンナプルナ・サウス(7219M)、南にヒウンチュリ(6434M)、東南にマチャプチャレ(6997M)、東にガンダルバチュリ(6248M)、東北にアンナプルナⅢ(7555M)と、神の山々がぐるりと取り囲んでいる、文字通りのサンクチュアリである。楽園のテラスで(スプライトは品切れだったので)コーラを飲みながら景色に見とれる。自分がこの絶景の中心にいることが夢みたいだ。しばらくして、遅れてデウラリを出た名古屋のトレッカー氏も合流。「追いつくかと思ったら、追いつかなかった。なかなか歩くのが速いですね」といわれる。