うゐの奥山行(28)―ダンプスにて(後)2009/01/22 08:47

ダンプスの村

昼食のあと、テジくんとダンプスの村を散策。なんとなく日本の田舎に似ていて、共通の文化的ルーツを感じる。縁側で機織りをしているところを見せてもらったり、子犬を抱かせてもらったりして、どんどん歩いていくと、フィンランド人青年一行に出会った。ここにいても仕方がないので、早めにポカラに戻ることにしたといって荷造りをしている。このあとはインドへ行くというので、彼らがインド人に騙されないよう(心の中で)祈った。ロッジに戻り、庭でビールを飲みながら(曇って山が見えなくなったので)あたりの風景をスケッチしていると、どんどんゲストがやってきた。北欧人らしいカップル、イタリア人の新婚カップル、ロシア人の若い女性、それぞれの連れているガイドとポーター、私たちも入れると合計13人。このトレッキング始まって以来の大所帯だ。テジくんは「夕食も私が作るから大丈夫」といっていたが、急遽オーナーの親戚のおばさんが呼ばれ、彼女が夕食を作ることになった。親戚もロッジを経営しているのだが、そっちにはゲストが一人もいないそうだから、当然の処置だろう。ということで、夕食は気になっていたトマトチーズ・ピザにした(トマトソースがちょっと甘めだったが、とてもおいしかった。さすが高山病に打ち勝ったピザである)。トレッキング最後の夜、すぐに寝てしまうのが惜しくて、食堂で日記をつけたり、デジカメの写真を見返したりしていると、テジくんが「退屈ではないですか、何か飲みませんか」という。本来なら、これまでの労をねぎらってゲストが1杯おごらねばならないところだが、テジくんはお酒も煙草もやらないし、モヘンドラくんは未成年だし、と思って逡巡していると、遠慮していると思ったのか、「おごりますよ」といってロクシー(焼酎に似たお酒)を1杯おごってくれた。ありがとう、テジくん。ごめんね、至らないゲストで。

うゐの奥山行(29)―ダンプスからフェディへ2009/01/22 13:04

朝焼けのアンナプルナ・サウス

12月22日、トレッキング最終日。ビールとロクシーが効いたのか、明け方、何度もトイレに起きる。外は暗いが天気は悪そうだ。7時に起きる頃には、少し晴れて、朝日に染まるアンナプルナ・サウス、ヒウンチュリ、マチャプチャレがかろうじて見えた。ミントティーを飲みながら最後の景色を楽しんでいると、雲がどんどん出てきて山々が隠れてしまった。8時にヴェジタブル・ヌードル・スープの朝食をとり、景色が悪ければここにいても仕方がないので、9時に出発する。昨日散策した村の道を途中から右折し、フェディへ下りていく。いつものようにテジくんがザックを持とうとするが、最後だからといって固辞する。下るにつれて、すれ違うトレッカーが増え、彼らがお姫様状態の私に投げかける嘲笑(と嫉妬?)を含んだ視線が気になっていたところでもある。急な下りに入ると、テジくんが「先に行って車の手配をします」といって、モヘンドラくんに何事か伝えると(私から目を離すなといったに違いない)、脱兎のごとく駆け出していき、たちまち見えなくなった。ずっと私の後ろで私のペースに合わせて歩いていた彼が、これまでのうっぷんを晴らすかような、目の覚めるようなスピードだった。9時55分、フェディ着。待っていたテジくんが、「トレッキング、成功おめでとうございます」といって首にカター(チベットの白いスカーフ)をかけてくれる。タクシーの運転手にカメラを渡し、3人で並んで記念写真を撮った。後でよくみたら、ピンボケだった。