3度目のスリーパス- Day10 Gorak Shep to Dzonglha ― 2017/03/12 10:17
12月16日晴れ
5時30分起床。血中酸素濃度を測ると何と48%。しばらく深呼吸をすると70%まで上がる。とはいえ高山病の兆候はない。7時にチキンヌードルスープとブラックティーの朝食を済ませ、7時半すぎに出発。今日はゾンラまで歩く約5時間の行程。

2時間ほど下るとロブチェが見えてくる(↑)が、そのまま通過。さらに20分ほどでトゥクラ・パスとの分岐に。パスを越えるには左へクーンブ氷河の河原を越えていくのだが、私たちは右へ。半分凍結した河原を渡り、山肌に刻まれた道を西へ、時計回りに回り込んでいく(↓)。

丘の上で小休止。向かい側に去年通ったトゥクラ・パスのルート(白い筋)とトゥクラのロッジが見える(↓)。

左下に凍ったチョラ・ショ、左にタボチェ・ピーク、チョラツェ、アラカム・ツェの山容を眺めながら西へ。2010年にチョ・ラを越えたときは西から東の逆回り、しかも、次第に曇ってきたので、こんな絶景を楽しむこともなかった。そのうえゾンラを2時すぎに出たので、ロブチェに着く前に暗くなって焦ったし、チョ・ラ越えで体力を使い果たしていたので不満たらたらの歩きだった。

しばらく行くと、北にロブチェ・イーストのピークが見える(↓)

さらに北西へ歩いていくと、11時30分頃、遙か下の方にゾンラのロッジ、右手にチョ・ラ(白い台地)が見えてくる(↓)。

見えたからといって、すぐに着かないのがヒマラヤ。さらに1時間強歩いて、12時45分頃にゾンラのロッジ着(↓)。ゴラク・シェプから休憩入れて5時間15分だった。

部屋に荷物を置き、チャパティとベジオムレツで昼食。陽があるうちに中敷きを外して靴を干しておく。キンドルに入れてきた新刊本は全部読んでしまったので漱石全集を読み返すことにし、まずは「吾輩は猫である」から。ロッジではゴラク・シェプで一緒だったアメリカ人の女性と、ロブチェ・ピークに登ってきたという西洋人の男性(ハイドロシステムのチューブの中で水が凍って大変だったとか。便利なようだけど寒さがネック)、それに韓国人の中年男女6、7人のグループが一緒。韓国人グループはキムチや食材を持ち込んで韓式の食事を別に作らせて食べていた。食材やテントまで持ち歩いているらしく、ポーターの数も多い大部隊である。18時トマトチーズピザとジンジャー・ハニー・レモンで夕食。血中酸素濃度は歩いたせいか65%から71%に。明日はチョ・ラ越えなので眠剤を飲んで早めに寝た。
3度目のスリーパス- Day9 Kala Patthar ― 2017/03/10 10:06
12月15日晴れ
5時45分ドアを叩いて起こされる。5時30分に目覚ましをかけておいたのに、気づかなかった。6時にロッジを出発。あたりはヘッドランプを使わなくて済むほど明るい。
カラパタールはエベレストの絶景ポイントの1つ(おそらく最高の)で、私は3度目。2009年に夕焼けを、2010年に朝焼けを見た。今回はいろいろ考えて朝焼けを選んだ。早朝カラパタールに登る際は、山頂は風が強くて寒いので、日の出を待つ時間を作らないよう、ちょうど日が射す頃に着くよう調節するのがコツだ。

7時20分、プモリのてっぺんに日が射してくる(↓)。予想より早くて焦る。急がないと夜が明けてしまうではないか。

7時45分頃、山頂に到達しないうちにヌプツェの右から太陽が顔を出す。慌てて朝日を背にして記念写真を撮ってもらう。実は、ご来光写真を年賀状に使うつもりで早朝登ることにしたのだ。

8時30分カラパタール着。エベレスト、ヌプツェ、その下の荒涼としたクーンブ氷河、南のアマ・ダブラムまで一望である。ふと見ると、サウスコルからウェスタン・クームの上を通って差し込んだ朝日が氷河を照らしている。あのあたりが去年行ったベースキャンプだ(↓)

朝のカラパタール山頂(5545m)とトレッカーたち(↓)右のとんがりがプモリ(7165m)。

9時45分、ブッダロッジに戻る。カラパタール往復3時間45分(休憩込み)。11時にハッシュブラウン(ベジ・エッグ)とブラックティーでブランチ(↓)

午後はダイニングルームで昼寝したり、エベレスト・リンクのカードを買ってネットを試したりして過ごし、18時に夕食、寝る。
3度目のスリーパス- Day 8 Lobuche to Gorak Shep ― 2017/03/10 09:37
12月14日晴れ
6時50分起床。疲れからか少し頭が痛い。ただ、前半の山場、コンマ・ラ越えが済んで気が楽に。これからは楽しんで歩こう。8時にトースト+蜂蜜、ブラックティーの朝食。8時30分に歩き始める。今日はゴラクシェプへ行くだけ。ヌプツェの上に雲が出ていて、いつ崩れるのかと、ちょっと不安に。写真はロブチェ出発前に、ロッジの前で撮ったヌプツェ(↓)

20分ほどでイタリアン・ピラミッド前を通過(↓)

今日一番の難所(?)のモレーン登り。ここまでイタリアン・ピラミッド前から約1時間。さすがに人気のトレッキング・コースなので、トレッカーの姿がちらほら。ザックの上にソーラーパネルをかけた中国人のカップルを抜いて(といっても私もかなりのスローペースだが)、モレーンの上に出る。

さらに氷河の跡をぐるっと回り、またモレーンを越えると、ゴラクシェプが見えてくる。ルペシュくんと記念写真(↓)。

11時30分、去年も泊まったブッダ・ロッジ着。ロブチェから休憩込みで3時間はまずまず。12時30分にハムチーズトーストとブラックティーで昼食。ゴラクシェプでは今日と明日の2泊し、明朝カラパタールに登ることにした。午後はやることがないので、日が射して温かいダイニングルームでヌプツェをスケッチしたり、日向ぼっこしていたら眠くなったので、部屋で昼寝。18時にマッシュルームピザ(↓)とブラックティーで夕食。早めに寝る。

3度目のスリーパス- Day 7 Kongma La to Lobuche ― 2017/03/07 20:12
12月13日晴れ。
4時30分起床。実は今回は主治医に頼んで眠剤を処方してもらってきた。いつも峠越えの前日は緊張して眠れず、歩く前にバテていた。スリーパスを達成するためには、まずは十分に睡眠をとること。それにはすんなり入眠できることだ。看護師に、記憶がなくなることがあるので、ベッドに入ってから飲むようにと指示されたが、それほど劇的には作用せず、効かないなーと思っているうちに、いつの間にか寝入ってしまう、という感じ。それでも、いつも眠れずに悶々としていたことを思うと格段の差である。

6時にヌードルスープの朝食をとり、6時30分に出発。あたりはもう明るくなっていて、ヘッドランプの必要はない。チュクンから少し下って、ニャン・コーラの谷に入っていく。

最初は谷の間をどんどん北へ登っていく。と、こんな感じの尾根に出る(↑)。日が射して温かく、草地なので歩きやすい。さらに、どんどん奥地へ歩いていくと、コンマ・ツェの山肌が見えてくる。ところどころで放牧されたヤクが草を食んでいる。

ここまでは問題なく、小さな池が見えてきたので、そろそろ峠かなと思ったら、まだ全然先だというので、がっかり。

小さな池を過ぎて、ちょっと大きい池のほとりで小休止。そろそろかと思ったら、峠の取り付きの池はもっと先だそうで、またまたがっかり。さすがにコンマ・ラ越えは長い。ロンリープラネットでは、チュクンからコンマ・ラが5時間、コンマ・ラからロブチェが4時間(休憩含まず)の設定である。

11時40分、ようやくコンマ・ラの取り付きに着く。向こうに見える山を越えれば、あとは下るだけ。が、ここまでて相当体力を使ってヨロヨロしてきた私は(後から来たトレッカーに楽々追い越されてしまった)、ニルクマールさんにザックを持ってもらうことにした。初日の失敗の後、ザックを持というというニルクマールさんの申し出をここまで断ってきたのだが。

12時15分すぎ、やっとコンマ・ラ(5535m)着。バテバテで写真を撮るのがやっと(後で自分の写真を見たら、我ながらぐったりしていて笑った)。チュクンのロッジで作ってもらったお弁当(ゆで卵とクッキー)を食べる気にもならない。本当はこういうところで、ちゃんと栄養補給をしないから、さらにバテるのだ。反省。

峠からは今日の目的地ロブチェがすぐ近くに見える。が、近くに見えても、なかなか着かないのがヒマラヤ。ロンリープラネットが“このトレックで最も難しい箇所”と書いた通りの、想像以上の悪路、岩だらけでゴロゴロ滑る、半凍結した道なき道を下り、やっと平らな場所に出て、今来た道を振り返ったところ(↓)。

しかし、ここはまだ途中。ろくに栄養補給もせず、すっかり疲れきった私の前に、クーンブ氷河のモレーンが壁にように立ちはだかる。疲れのせいで気持ちが悪くなり、水を飲みたいが、飲むと吐いてしまいそう。歩く気のなくなった自分を励ましつつ、休み休み、ゆっくり氷河を越える。暗くなる前にロッジに着かねば。

16時30分、ようやく反対側のモレーンを越え、ロブチェのロッジが見えてくる(↓)。大部薄暗くなってきた。

16時50分、日が落ちる前にロッジに着き、体が冷えたので部屋で厚手の下着に着替える。疲れて食欲がまるでなく、夕食はパイナップルの缶詰で済ませた。そういえば、ランタン・トレックでも食欲がなくなり、缶詰を食べたことを思い出す。結局、チュクンから休憩を入れて10時間20分でロブチェに着くことができた。念願のコンマ・ラ越えを4度目にしてやっと達成。一番ハードな峠を最初に越えて、ちょっと気が楽になる。
3度目のスリーパス- Day 6 Dingboche to Chhukung ― 2017/03/07 15:04
12月12日晴れ
6時起床。河原のせいか、夜半、風の音が凄かった。7時30分、トースト、フライドエッグ、ミルクティーの朝食を食べ、8時に出発。ディンボチェ側から見たアマ・ダブラム(↓)、角度が違うので、これまでとまったく違う山に見える。数日後チョラへ行く途中で振り返ると、またまったく違う山に見える不思議な山。

本当はチュクンで2泊してコンマ・ラ越えに備えたいところだが、18日間のトレッキングでは無理。チュクンで2泊するか、ゴーキョで2泊するか選べと言われたので、ゴーキョを選んだ。ディンボチェ(4410m)からチュクン(4730m)まで2時間半から3時間ほどなので、早めに着けば半日休める。

左にローツェの壁を見ながらイムジャ・コーラの河原を登っていく。氷河の跡なので基本的にガレ場。もう4000mを越えているので、急ぐとろくなことはない。ただし、息が切れるし、体力がないので、急ごうと思っても急げないが。

チュクンの手前まで登って、イムジャ・コーラの合流点で来た道を振り返ったところ。右手の山はタボチェ・ピーク。

10時30分、去年も泊まったカングリ・リゾート着。なんだか懐かしい。テラスでは、ソーラーでお湯を沸かしている(↑)血中酸素濃度を測ったら80%だった。12時にベジフライドライスとブラックティーの昼食。天気がいいので、タオルを洗い、トレッキングシューズの中敷きを取って干しておく。中が蒸れるとマメが出来やすくなる。14時頃、日本語を話す女性ガイドとポーターを連れた日本人女性2人組が現れる。ディンボチェから高度順応のための散歩に来たらしい。お茶を飲んで、また下っていった。私はひたすら日向ぼっこして体力を蓄える。

夕方、アイランドピークに月が出た(↑)。18時、トマトチーズピザとミルクティーで夕食。明日はいよいよコンマ・ラ挑戦だ。