チョラパス越えて(14)-ゾンラ2011/01/12 11:56


Lonely Planetの<Trekking in the Nepal Himalaya>では、ゾンラからのルートが紹介されていて、“逆から越えてもハードさは変わらない”という説明がついている。テジくんがガイド仲間に聞いたところでは、“タンナ側からの方が少しやさしい”という意見が多かった。ゾンラからだとチョラ氷河のモレーン(この崖↓)を登らねばならないのだが、崖を見比べると、どっちがハードかというより、好みの問題かもしれない。
反対側も崖だった

ただ、タンナからチョラパスの崖への登り道を考えると、ゾンラから、ここまでの道の方が、平坦で、やさしいように思う。
ゾンラ側からチョラパスを見る

チョラツェの麓の広々した谷に出て、今降りてきた崖を振り返る。もし、ゾンラからここに来て、「あれがチョラパスですよ」と言われたら、やっぱり私は「ウッソー!」と叫ぶに違いない。
やっとゾンラに
しかし、そこからが遠かった。13時15分、やっとゾンラ着。あまりに疲れて、ロッジの食堂のベンチに倒れ込むと、そのまま眠り込んでしまった。休憩時間があるにしても、朝から7時間半も歩き続けたことになる。しかし、それで終わりではなかった!

チョラパス越えて(15)-ロブチェ2011/01/12 14:15

ふと目覚めると、昼食を済ませたテジくんが「そろそろ出かけましょう」と言う。「えー、まだ歩くの?」と驚くと、「ロブチェまで2時間ちょっとで着きますよ」。すっかりゾンラに泊まる気になっていたのに。しかし、考えてみれば今日ロブチェに着けば、先の行程に余裕が出るし、ロブチェのロッジの方が快適なことは確かだ。「本当に2時間で着く?」と聞くと、「……2時間半」と言う。最初の逡巡の部分が気になるが、行くなら早く出ないと暗くなってしまう。結局、2時にロブチェに向けて出発する。
右はトゥクラ、左はロブチェ

私の頭の中には、去年トゥクラパスから眺めた、陽光きらめく緩やかな道が浮かんでいて、あの道なら大丈夫と思ったのだが、いざ歩き出してみると、登ったり下ったりしながら山肌をぐるっと回り込んで行く道で、かなり歩きでがあり、日が傾いてチョラツェ(6423M)の陰に入って俄然寒くなってくる。そのうえ、トゥクラパスの上に出る頃には、曇って景色が全然見えなくなってしまった。疲れと、やっぱりゾンラに泊まればよかったという後悔で、すっかり機嫌が悪くなった私は、「疲れた、疲れた」と文句を言いつつ、とぼとぼ歩き続けた。そして、あたりが暗くなり始めた17時すぎ、やっとロブチェに到着。ゾンラから、たっぷり3時間もかかってしまった。タンナから、歩数にして30941歩、休憩を含めて11時間歩きづめの1日だった。
後になって<Trekking in the Nepal Himalaya>を読んでいたら、ロブチェ・ゾンラ間は3時間の設定であるのに気づいた。テジくんの“2時間半”は、私を歩かせるための方便だったのだ。あのときのテジくんの逡巡が、ようやく腑に落ちた私だった。

ヌプツェを目指し、凍った川を渡る