アンナプルナ1周― Day10 カクベニ2012/01/11 21:18

12月17日、6時20分起床。トレッキングが(文字通り)峠を越したので、今日から日程もゆるめに。宿の建物の中に水道があるので、顔を洗ったり、コンタクトレンズを入れたりするのが俄然楽になる。7時30分、チベッタン・ブレッドとマーマレード、ミルクティーで朝食、8時に出発。今日からサーキットの後半、ロンリー・プラネットではパート2として別扱いになっている残りの半周を7日間かけて下って行く。
朝食のチベッタン・ブレッドとミルクティー
一般的に、ムクティナート(3798m)からジョムソン(2743m)へは、地球の歩き方に“歩けば6時間、ジープなら1時間半”と簡単に記されている渓谷の南側のルートを下るのだが、トレッキング中、暇に任せてロンリー・プラネットを熟読していた私は、砦の村ゾンを通ってカクベニへ下る北側のルートがあることに気づいた。このルートはアッパー・ムスタンに属するため、通るには特別なトレッキング許可証が必要だが、ロンリー・プラネットには、いずれ制限区域から外される可能性があるので、ACAPに確認するように、とある。昨日テジくんに確認してもらったところ、ACAPのオフィスは金曜で午後から閉まってしまったが、ロッジの人達が“許可なしで行ける”と言うので、北側のルートを試すことに。
チョンカル・ゴンパとヤクワカン
ラーニパウワから、いったんムクティナートへ戻り、途中から左折。30分ほどで200年前に建立された密教のお寺チョンカル・ゴンパに到る。そこから小さな村を通り抜け、ゾン・コーラに掛かる吊り橋を渡り、渓谷の北側に出て、しばらく行くと、丘の上に崩れた遺跡とゴンパのある村が見えてくる。ここがゾン(3580m)で、遺跡が村の名の由来となった砦(ゾン)である。
14世紀の砦の町ゾン
渓谷を下り、村に入っていくと、村人がびっくりしたように、こちらを見る。手を合わせて“ナマステ”と挨拶すると、手を合わせて挨拶を返してくれる。ロンリー・プラネットによれば、ロッジが1軒あるそうだが、トレッカーは、まだそれほど来ていないようで、観光ずれしていない、まるで桃源郷のような村である。
小僧さんがお経を詠んでくれる
アムリットくんを先頭に、村の中心をしめる小高い丘に、どんどん登っていくと、16世紀建立(建物は新しい)のサキャ派のゴンパに着く。テジくんがあちこち探して、お寺の中を見せてもらえることになる。堂内に入ると、修行中の小僧さんがお経を詠んでくれた(仏像は撮影禁止)。
ゾン(砦)の名の由来
ゾンはその昔、この辺りの都だったそうで、14世紀に造られ、今は崩れたラブギェル・ツェ砦のはんばでない大きさを見ると、チベットとの交易と聖地ムクティナート巡礼の要衝として、かつては、かなり栄えていたことがうかがえる。
あれがトロン・パスだ!
砦の上から、村の東南方向に昨日越えたばかりのトロン・パスの巨大なV字のくびれが見える。さすが、“世界最大の峠”という、うたい文句は、あながち誇張ではない。
ムスタンの荒涼とした風景
9時50分、ゾンの集落を出て、再び渓谷の北側を西へ下る。すぐ緑が消え、砂と岩だけに。道巾は広く、平坦で歩きやすいが、車にも人にも出会わない。昨日はダウラギリの上に少しだけ雲が出ていたが、今日は見渡す限り、雲ひとつない青空だ。いかにもチベット的な荒涼とした風景の中をどんどん下っていく(うっかり日焼け止めを塗り忘れ、あとで鏡を見てギョっとすることに)。アムリットくんはロ・マンタンにも行ったことがあるそうで、興味津々で、どんなところか尋ねたら、“埃っぽくて、山(ヒマラヤ)が見えない”と素っ気ない。が、この道を通ってみて、彼の感想がまったく腑に落ちた。
カリガンダキ川の河原に出る
11時50分、カリ・ガンダキ川が見えてくる。手前の岸に白く見える筋がロ・マンタン、対岸の筋がドルポへ行く道で、どっちへ行くにも、前もって許可を得なければならない。
ニルギリとカクベニ
12時すぎにカクベニ(2840m)に到着。ゾン・コーラがカリ・ガンダキに流れ込む地点にあり、ロンリー・プラネットが“今も中世の面影が残る”として1泊するよう勧める村である。村に入るとすぐACAPのチェックポストがあり、立派なマニ車がある。石畳の道を進んでいくと、なんと、セブンイレブンとヤクドナルドを発見。ヤクドナルドは(もちろん)ファストフード店ではなく、ちゃんとしたレストランだった(メニューにヤク・バーガーとヤク・チーズ・バーガーあり)。
カクベニのヤクドナルド
大きくて古いチョルテンのそばにあるパラダイス・トレッカー・ホームに投宿。料理人がいないそうで(ゲストも私だけ)、テジくんが作ってくれたベジ・フライドライスとミルクティーで昼食。カクベニは村の中に放牧(?)されているほど牛が多く、紅茶にいれたミルクも、村でしぼったものだ。
テジくん特製ベジ・フライドライス
部屋で休憩後、夕方から村のゴンパを見学に行く(拝観料100ルピー)。ゴンパの屋上からカリ・ガンダキの上流(アッパー・ムスタン方面)と下流(明日から下るルート)を眺める。カリ・ガンダギの広い河原を風が通り抜けるので、日が陰ると寒い。
カクベニののら子牛
18時、まだ料理人がいないが、テジくんが“何でも作ります”というので、エッグ・カレーライスを作ってもらって食べ、食堂のテレビでインドのロマコメ映画を2本見て寝る。

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