アンナプルナ1周―出発2012/01/04 09:51

2年続けてエベレスト方面に行ったので、今年はアンナプルナ・サーキットにしようと思ったのはいいのだが、震災の後、猛烈に忙しくなり、11月末まで連日缶詰状態。ウォーキングも満足に出来ず、準備ゼロどころか、捻挫の腫れが治らないまま出発日の12月6日を迎える。朝、なんとかトランクに荷物を突っ込んで成田へ。搭乗口の前まで来て、やっと一息。
成田空港の搭乗口
今回のトレッキングの目的は聖地ムクティナートとマルファの河口慧海記念館に寄ること。それに、ロンリー・プラネットのガイドブックに出ていたミラレパ洞窟にも行ってみたい。いつものようにヒマラヤン・アクティヴィティーズに手配をお願いし、ガイドはいつものようにテジくんに決まる。12月6日、17:00成田発の大韓航空便で仁川へ。
窓の外はチェックイン・カウンター
今回、大韓にしたのはFIX/OPENのチケットを調べたら一番安かったから。ただし、週2便しか出てないので、便のある日に合わせて日程を組まねばならない(そのため、前半に高度順応日を設けていない)し、往復とも仁川泊になる。2年前も大韓にして、そのときは空港の外のホテルに泊まって、いろいろ不便だったので、今回は空港内にあるトランジット・ホテルにした。部屋はダブルで、窓の外はチェックイン・カウンターだ。部屋に荷物を置いて、空港内を散歩。韓国っぽいものが食べたくなり、レストランで冷麺を食べて、Cassビールを飲んだ。
機内食のビビンバにコチュジャンをかけたところ
12月7日、朝ホテルをチェック・アウトし、そのままゲートへ(便利)。9:45発の大韓航空便でカトマンズへ向かう。機体は新しく快適、しかも乗客が数十人しかいなかった。機内食はお馴染みビビンバ。ちなみに、大韓の欠点はビビンバ以外の機内食がいまいちなところだ。
機内から初エベレスト
カトマンズが近くなり、窓からエベレストが見えた。晴れたらヒマラヤが見えるから、窓側の席にしてくれと成田で頼んでおいて、よかった。
きれいになったトリブバン空港
13:40、予定より早めにトリブバン空港着。2011年はネパール観光年だったので、空港はなんとなくきれいになっていた(帰りにじっくり探検)。入国検査場では、ビザをとる人の列がすごいことになっていた(あの中に入ったら2時間は出られないだろう)が、私は東京の大使館でビザをとってきたので、なんなく通過。荷物も無事に出てきて、14:00ちょっとすぎに空港の外で待っていたテジくんと1年ぶりに再会する。
ギリンチェで初ビール
タメル地区のホテルに荷物を置き、ヒマラヤン・アクティヴィティーズのオフィスで打ち合わせ。アンナプルナ方面のトレッキングは普通ツーリスト用のバスでポカラへ行くのだが、アンナプルナ・サーキットの出発点ブルブレにはローカルバスしか行っていないのだそう。明日朝6時にテジくんがホテルに迎えに来てくれることになる。タメルの両替屋でドルをルピーに替える(外にレートが書いてあるのだが、テジくんは、“お願いすれば”少しいいレートにしてくれると言う)。夜、さっそくギリンチェへ。いつものお兄さんが顔を覚えていてくれた。明日からのトレッキングの無事を祈ってエベレスト・ビールで乾杯し、山盛りのチョウメンを食べた。

アンナプルナ1周―Day1 ブルブレ(ナディ)2012/01/04 11:20

12月8日、バスは6時45分発だが、15分前には席に座っていた方がいいというテジくんの意見で、6時にホテルのロビーで待ち合わせ。少し早いが、車でナヤ・パス・パークへ行き、停車場の食堂で、紅茶を飲みながら出発を待つ。
ベシサハル行きのローカルバス
テジくんが切符を2席分買ってくれたので、運転手の後ろを2席とって隣にザックを置き、私の後ろにテジくんと、今回ポーターをやってくれるアムリットくんが座る。6時45分発といっても、お客を集めながらなので、リングロードあたり(だと思う)をゆっくり流しながら、車掌の青年が道行く人に声を掛けていく。8時頃にほぼ満席になり、本格的に走り出す。
途中で昼食休憩
これまでポカラに行くのもルクラに行くのも、飛行機で移動したのでわからなかったが、地図では一見平らに見えるカトマンズ・ポカラ間は、かなりな山道だった。車線のないカーブだらけの道を走るのは、とってもスリリングだ。10時すぎに昼食休憩、ドライブイン(?)でダルバート(鶏肉のカレー付き)を食べる。
山道の障害物その1
13時30分、ベシサハル着。バスを乗り換えて、さらに奥地へ。道はさらに狭まり、車が1台通るのがやっと。それも、大きな石が落ちていたり、山羊や牛の群れが行く手を阻んだり、まるで障害物レースの様相。
山道の障害物その2
14時50分、ブルブレ着。チェック・ポストでトレッキング許可証を見せ、いよいよトレッキング開始。
ブルブレのチェックポスト
ブルブレで泊まってもいいのだが、まだ時間が早いし、体を動かしてないので、ナディまで歩くことになる。エベレスト方面だと、歩き始めのルクラは2800Mもあるが、ブルブレは840Mしかないので、体が軽く、どんどん歩ける。
いよいよトレッキング開始
16時30分、ナディ(930M)のハイカーズ・ロッジ着。熱いシャワーを浴びて、カレーライスを食べる。歩数計では13286歩、歩いたことになっていたが、半数以上はバスの揺れのはず。おそるべし、ネパールのローカルバス!

アンナプルナ1周―Day2 ジャガット2012/01/05 15:13

12月9日6時起床。暗いうちに起きてアムリットくんに預ける荷物を作り、7時にアップルパンケーキと紅茶で朝ご飯。昨日、ホテルが持たせてくれたお弁当のバナナも食べる。ゆで卵を食べようとしたら、悪くなっているかもしれないとテジくんに止められ、去年のこともあるので、もったいないが捨てることに。
開発進むヒマラヤ渓谷
7時45分に出発。しばらくはマルシャンディ川の東側の道を歩いていく。川を挟んだ西側で、道路工事が進んでいるのが見える。今でもジープならシャンゲまで行くことが出来る。アンナプルナ・サーキットの後半、カリガンダキ川の渓谷には、既にジョムソンまで道路が開通し、ミニバスが通っているし、ジープでムクティナートへ行くことも可能である。これでブルブレからマナンまで道路が通じてしまうと、トレッカーが歩けるのはマナン・ムクティナート間のトロンパス越えだけとなり、アンナプルナ・サーキットは事実上、有名無実となるだろう。
ブラフマンが拓いた村バフンダーラ
1時間ほど歩くと、バフンダーラ(1310M)のこんもりとした山が見えてくる。バフンダーラとは“ブラフマンの丘”という意味で、村に住んでいるのは、この地を拓いたブラフマン階級(バラモン=司祭)の子孫だそう。村への急な登りに、やっとヒマラヤのトレッキングらしさを感じる。
マルシャンディ川に注ぐ滝
さらに2時間ほど行くと、西側の崖に大きな滝が見えてくる。ここがジェルムで、坂道を下り、吊り橋を渡って西側のシャンゲに着くと、あとはジャガットまで200Mのゆるい登りを残すのみ。そろそろ昼食の時間だが、ジャガットまで1時間なので、着いてから食べることにして、先を急ぐことにする。ところが、坂道を15分も登らないうちに突然足が動かなくなってしまった。どうやらエネルギー切れを起こしたらしい。甘い物嫌いで、行動食をとる習慣がないのが悪かったのだ。あわててキャラメルを舐め、お弁当の残りのリンゴを食べて小休止。14時すぎ、ジャガットのノースフェイス・リバービュー・ゲストハウス着。さっそくスプライトを飲み、山盛りのミックス・フライド・ライスを食べる。
ノース・フェイス(直営ではない)ゲストハウス

テジくんから、“今日はペースが速かったので、明日はもう少しゆっくり”と注意を受ける。まだ高度が低く、抵抗なく歩けるのが嬉しくて、ウォーキングのペースで歩いてしまったのだ。トレッキングはまだ始まったばかり。これから道は次第に険しくなるのだし、あわてず、急がず、早めに行動食をとろうと反省。

アンナプルナ1周― Day3 ダラパニ2012/01/06 12:10

12月10日。6時起床、7時に朝食(今朝はアップルパンケーキと紅茶)、7時半すぎに出発、というのが今回のトレッキングの基本の日程。
ジャガットの朝食アップルパンケーキ
今日もまた、マルシャンディ川の渓谷を遡りつつ、崖に張り付くような狭い道を登ったり降りたり、吊り橋を渡ったりしながら、ダラパニまで500Mあまり高度を上げていく。
滝だらけの道その1
ジャガットから1時間ほどでシャムチェ(1430M)に着く。実はここまで道路が通じていて、車で入ることができるのだ。
実はここまで車が入れる(シャムチェ)

滝だらけの道その2
その先、渓谷はさらに狭まり、両側は切り立った崖だ。今歩いている、崖を削って造った道も、前は桟道だったらしい。向かい側で進められている道路工事を眺めると、すごい山肌に道を刻んでいる。あの道で車を運転するのは、さぞ勇気がいることだろう。
車道はこんなところを通る
10時40分頃、タル(1700M)が見えてくる。タルとは湖という意味で、ここだけ谷が開け、広い河原になっている。この辺りからマナン郡に入り、チベット色が次第に強くなる。昨日の反省から、ちょっと早めだけど昼食。ファーザー&サン・ゲストハウスでヴェジ・フライド・ライスを食べる。頭の上で大きなワシが舞っていて、マチュピチュでコンドルを探したことを思い出す。
タル(1700M)が見えてくる
タルに着く直前、峠で休憩中の8人のフランス人グループにすれ違った。ガイド3人とポーター数名を連れた彼らはトレッカーではなく、チュル・ウェスト(6419M)に登るクライマーで、彼らとは、この先々で再会することになる。
滝だらけの道その3
今日の行程はマルシャンディ渓谷で最も狭まった部分で、山は見えないが、吊り橋と滝が多い。
滝だらけの道その4

滝だらけの道その5
14時30分、ダラパニ(1860M)に着き、グリーン・パーク・ゲストハウスに投宿。シャワーを浴びようとしたら、道路工事のせいで水道が使えなくなったのだそうで、バケツにお湯を貰って体を洗う。私の他のゲストは、中庭にテントを張って泊まっているオーストラリア人と中国人のカップル、フランス語でカフカの<アメリカ>を読んでいる青年、体の大きなアメリカ人(?)男性ら。アメリカ人(?)についているガイドは、去年一緒にチョラパスを越えたアンナリーズのガイド、ラスクマールさんと同じ会社の人だった。
行く手にダラパニ(1860M)が。
18時すぎ、夕食の野菜と豆とポテトとカボチャのカレーとコーンブレッドを食べていると、テジくんが雨が降ってきたという。ロッジに着く前あたりから小雨がパラパラしていたが、本格的に降り出したらしい。私にとってヒマラヤ・トレッキング初の雨である(私の“晴れ女”のジンクスがここで破れる)。明日からの道の状態が心配になったが、食後のお茶を飲んでいるうちに止んでしまった。

アンナプルナ1周― Day4 チャーメ2012/01/07 08:54

12月11日、雨音がした気がして2時頃目覚めるが、ロッジの前を流れるマルシャンディ川の水音だった。
ロッジの前は川を挟んで崖
6時起床。6時半頃には曇っていた空は、“晴れ女”の神通力が多少残っていたのか、出発する頃にはすっかり晴れ。
ロッジの後ろはすぐに崖
7時にヴェジ・ヌードル・スープで朝食。7時45分、出発するとすぐACAPのチェック・ポストに。シーズン中はとても混むらしく、ロンリー・プラネットのガイドブックには“列の後ろになると永遠に時間がかかる”とあるが、もうシーズンも終わりだし、私達が朝いちの通過者なので問題なし。外に道路工事の注意書きがあり、それによると、今はシャムチェまでのジープ便が2、3年でチャーメまで通じることになる。しかし、あの崖の道が本当に車が通れるようになるのだろうか(なっても通るのは嫌)。
道路工事の注意書き
チェック・ポストを出て、すぐ右手の谷にマナスル・トレックのルートが見える。そのまま30分ほど歩くと、谷が開け、行く手に雪山(ラムジュン・ヒマール 6983M)が見えてくる。
谷が開け、山(ラムジュン・ヒマール)が見える。
出発から1時間ほどでダナキューを通過。小さな橋を渡ると急な登りになり、ここで後から来たフランス人グループに追い抜かれる。高度があがり、東側(背後)に高さ8163M、世界第8位のマナスルが見えてくる。途中で初めて日本人のトレッカーに会う(テジくんはウェアやザックのメーカーで誰が日本人かわかるし、装備やガイドand/orポーターの有無で、どのルートを行くのかがわかる)。30代後半くらいの男性で、ポーターに全部荷物を持たせて余裕で歩いている。私は、今回も貴重品、着替え、医薬品、水筒などを入れたザックを担いでいる。去年はチョラ・パスの登りでテジくんのお世話になってしまったので、今年は全行程自分で担ぐ覚悟なのだが…。
背後にマナスルが顔を出す。
11時すぎにタンチョクのホテル・チョー・ユーでダルバートの昼食。この辺で採れたキノコ(厚めのキクラゲみたいな食感)が入っていて美味しかった。食堂で休んでいると西洋人の男と韓国人の女性が2人入ってきた。私がテジくんと日本語で話しているのを聞いて、若い方の女性が「日本人ですか?」と聞いてきた。するとテジくんが韓国語で返事をしたのでびっくり。いつのまに覚えたのか、3年前にABCに行ったときには一言も話せなかったのに(韓国語は日本語と似ていて、やさしいと言う)。西洋人の男は、トレッキングというのに、なぜか厚手のブレザーに下はジーンズで、いかにも怪しい。そのうちマリファナを吸い出したので、あわてて離れたテーブルに移った(煙と臭いが苦手)。テジくんが「ネパールではマリファナは禁じられているので、僕が警察に通報すると逮捕されますよ」と注意してもニヤニヤ。そのうちに目がとろんとして、うつらうつらし始めた。しょうのない奴だ。
昼食休憩したタンチョクのロッジの猫
そんな怪しい3人組をおいて、13時すぎに出発。前方南側にアンナプルナⅡ峰を見ながら森の中を1時間ほど歩き、14時にチャーメに到着、ホテル・シャングリラに投宿する。
ツァーメ村の入口を示す門(カニ)
チャーメはマナン郡の郡庁のある大きな村で、宿には売店とインターネット・コーナーが付属しているし(テジくんは、ネットをやってみたら、すごく遅かったから、やめた方がいいと言っていた)、村にはインターネット・カフェもある。
ロッジ付属のインターネット・カフェ
部屋に荷物を置き、ダイソーで買ったサンダルに履き替えて、テジくん、アムリットくんと散歩に出かける。少し先のロッジにフランス人グループがいたので挨拶、橋を渡って川の反対側に行くと、“HOT SPRING”の看板が立っていたので行ってみた。河原に降りていくと、コンクリート造りの小さな浴槽があったが空っぽ。その裏に確かに温泉は湧いていた(↓)が、これでは人が浸かるのは無理だろう。
ツァーメの“温泉”
18時にチキン・スープとヴェジ・フライド・ライスで夕食。その後、テレビでSAFFチャンピオンシップ決勝インド対アフガニスタン戦を見る。ゴール前でのインドのシミュレーション(ノーホイッスル)に抗議したアフガンのGKがレッドカードで退場後、インドが4点を入れて勝つという、なんだかなーな試合であった。