山は遠かった(Day5)―Kyanjin Ri2014/01/05 08:56

12月14日キャンジンゴンパ2日目、快晴。実は最初に予定を立てたときは、ゴサインクンドで延泊することにしていたのだが、どのガイドブックでも“キャンジンゴンパでハイキングを楽しめ”と勧めているので、急遽変更したのだ。今年は準備なしのいきなりトレッキングでバテたので、ここで延泊したのは正解だった、と、その時はそう思った(あとで、本当によかったのか考え直す局面がくる)。
6時すぎに起床。部屋の窓が凍っていた。夜半は風の音がうるさいほどで、ランタンは“風の谷”なんだなと思う。着替えのとき、キャンジン・リ登頂には、どんな服を着ていくべきか、眼鏡かコンタクトか迷い、結局、寒そうなので長ズボンにし(これまでは七分丈の夏用登山ズボンに速乾下着とレッグウォーマーを合わせていた)、日射しが強そうなのでコンタクト+サングラスを選択。
ロッジからランタン峰を見たところ
8時にチベッタンブレッドとハチミツ、ミルクティーで朝食、8時半にキャンジン・リに向けて出発、ロッジの横から山道を登り始める。道はこんな(↓)で、ゴーキョ・リを険しくした感じ。
キャンジンリ・ビューポイントに向かう道
登りが嫌いなのと昨日までの疲れで、ペースはいつも以上にゆっくり。休み休み登っていくと、キャンジンゴンパのロッジ群が遙か下に見える。向かいの山の左の切れ込みがガンジャ・ラだそうで、キャンジンゴンパからガンジャ・ラを経てタレパティに出るルートを1度は検討した自分を本当にバカだなと思う。冬は積雪があるし、ルート上にロッジがなく、テント泊になるので断念したんだけど、計画を立てるときに限って登りが嫌いなことをなぜ忘れるんだろう?不思議だ。
遙か下にキャンジンゴンパの村
先に登っていた2人組の女性トレッカー(&ガイドとポーター)と抜きつ抜かれつになる。片方の女性(水色の方↓)が脚にきていて、2人合わせると私とどっこいどっこいのペースになるのだ。ランタン・コーラの上流に(ほぼ)長方形の黒っぽい河原が見えるが、あれは飛行場(滑走路)で、造成した後で離着陸が難しいことが判明し(たぶん谷が狭いのと、風の関係だろう)、使われていないのだそう。そんなことは造る前から分かりそうなものだが、工事というのは(どこの国でも)えてしてこうなる。
一緒に登った女性トレッカー2人組
いい加減登るのにうんざりする頃、ピークが見えてくる(↓)が、あそこはまだビューポイント(4600m)だ。
キャンジンリ・ビューポイント
10時、ビューポイント着。ランタン・リルン(7246m)を前にラジューくん(右)ゴレくんと記念写真(↓)一緒に登った女性トレッカー(元気な方)がシャッターを押してくれた。なんとなく三馬鹿大将に見える(古いね)。
ビューポイントで
さて、問題はこれから。バテているのが見え見えだったのだろう、ラジューくんに「行きますか?」と念押しされ、ちょっと考えてから「行く」と答える。ビューポイントから頂上(4773m)まで、まだこんな尾根道を歩かねばならない(↓)
キャンジンリへの尾根道
ちょっと見、なだらかで歩きやすそうだが、歩いてみると、下から吹き上げてくる風が尾根で渦を巻き、一瞬で前が見えなくなるし(コンタクトレンズ使用中)、最後の登りが意外に手強い。いい加減イヤになって、少し先に見えるこぶまで登ったら降りようと思ったら、そこが頂上だった。11時、山頂着。女性トレッカー2人はビューポイントから降りてしまい、私たちだけだったので、3人揃った写真は撮れなかった(↓)
キャンジンリの二人
帰りは登ってきた道ではなく、頂上から東南方向へ回り込みながら下っていく。見るとヘリコプターがトレッカー(らしい)を運んできた。ヘリポートはゴラタベラの軍の駐屯地にもあるし、滑走路が改善されない限り、緊急輸送はヘリに頼る他ないだろう。
ヘリが来た
12時半にロッジに戻る。往復4時間(休憩含む)はペースとしてどうなんだろう(まあ、これ以上速く歩けと言われても無理だけど)。午後になると雲が出てきて(↓)ガイドブック(もちろんロンリー・プラネット)にも“午後はよく雲が巻くので、下る際に道に迷いやすい”とある。
午後は曇る
まだ陽のあるうちは、トレッキングシューズを干したり、スケッチしたりして過ごし(かなり風が強かったが)、18時にヴェジ・ヌードルスープとホットレモンで夕食。それから就寝時間(たいてい20時)まで、食堂に集まってきたおじさんたち(親戚か)の話を聞きながら(といっても言葉は分からない)、しばらくストーブで暖をとる。ランタン・トレックの目的だったキャンジン・リ登頂を終え、半分終わったような気分になっていた私だが、実は今回の山場は、ここから先にあったのである!(翌日につづく)